THE FAMOUS RECORDING

70's・80'sの名盤・名曲をじっくりとお送りする
「本物の洋楽番組」にどうぞお付き合いください。

every sat. 19:00~20:00 ON AIR
【担当NA】 yadge

第57回 JAMES TAYLOR『MUD SLIDE SLIM AND THE BLUE HORIZON』

2018 年 11 月 10 日

●JAMES TAYLOR:『MUD SLIDE SLIM AND THE BLUE HORIZON』(1971年)

James Taylor

先のキャロル・キングによる「君のともだち」を
全米No.1シングルに仕立てた偉業もさることながら。

元来、彼自身も素晴らしいシンガー・ソングライターであることに
誰も異論を唱えません。

さらに彼の優しい「歌声」もまた、作品に彩りを添える大きな要因です。

(´▽`) ホッ、とするんですよ彼の声を聴くだけで♬

その魅力あふれる歌声が
他アーティストでも発揮されているのが、コチラ。
Steve Winwood - Back In The High Life Again - YouTube

スティーヴ・ウィンウッド 1986年の大ヒット・アルバム
『バック・イン・ザ・ハイライフ』収録の
「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ・アゲイン」。

これぞ「大人な」名共演だと思います。

最新アルバム『ビフォー・ディス・ワールド』(2015年)で
キャリア初の全米No.1を獲得したあたりは、
遺作アルバムの『ヒプノティック・アイ』(2014年)で
同じくキャリア初の全米No.1を獲得したトム・ペティ同様に、
70年代から活躍を続けて来た本当に良質なアーティストの
「底力」を感じずにはいられません。

1970年代初頭。

キャロル・キングと共に、
シンガー・ソングライター・ブームの着火役を担った偉業は
未来永劫語り継がれていくことでしょう。



●THE FAMOUS ARTIST:LEONARD COHEN

The Official Leonard Cohen Site

自慢話をします。

2009年7月23日、アイルランド・ダブリンの「The O2」という会場で
レナード・コーエンのライヴを見ました。

翌日から、U2の地元公演を3回見る前に起きた「奇跡の出来事」でした。

一緒に行った友人が強く薦めるので
イヤイヤながら行く決意をしたものの、
同会場4公演の最終日にあたる7月23日のチケットは
日本を発つ前にチケットマスターで調べるも完売状態。

現地入りした後、ダブリン市街のチケットマスター窓口に行くも、
やはり完売状況は変わらず、
仕方なく友人と「せめて会場の前まで行って、
当日券が出ていたらその場で買おうか」と。。。

ところが会場付近に「当日券窓口」らしきものは一切見当たらず、
あきらめモードで「チケット譲ってください」の紙を持って
しばらくウロウロしていました。

そこにスポーツ・チャリで目前に突然現れた男性が
「おまえらチケットが2枚欲しいのか?」
と声をかけてきたのです!!

どうやら一緒に行く予定だった方が行けなくなったので
チケットが2枚、不要になったらしく。

しかも親切なことに「定価」で譲ってくれるとな!!!
(それでも2万円近い高値でしたが。笑)

こんな奇跡もあるもんだ!と半ば夢心地で会場内に入ると、
さらにビックリの「6列目ど真ん中!!!」(泣)

最初で最後のレナード・コーエン・ライヴ体験は、
それはそれは素晴らしい内容で
一生の想い出になったことは言うまでもありません。

ほとんどの曲を知りませんでしたが、
終始激シブな歌声とバンドの素晴らしすぎる演奏に
酔いしれた一夜になりました。

※マニアックな話ですが、バンマスのキーボーディストが
「ニール・ラーセン」だったことに驚きました。

Neil Larsen - Wikipedia

彼は本国:カナダ以外ではアメリカよりも
ヨーロッパでの人気が断然高く、
ダブリンでも5,000キャパの会場で4公演を楽々完売するほどでした。

ライヴを見た後、いやいやな自分を
強引にライヴに誘ってくれた友人に感謝しきれない思いと、
レナード・コーエンというアーティストを
それまで全く無視してきた己の情けなさを
恥じる思いでいっぱいになりました。

番組でご紹介した「ハレルヤ」♪

彼の代表曲であり数多くの名カヴァーを量産し続けている
お化けソングです。

中でも同じカナダ出身のk.d.ラングによるカヴァーが白眉♬

k.d. lang performs Hallelujah - Vancouver 2010 Olympics Opening Ceremony | Music Monday - YouTube

映像はヴァンクーヴァー・オリンピック時のもの。

さてさて、「東京オリンピック」さん。
これに匹敵する「音楽感動」を
「誰の、どの曲で」見せてもらえますかね??

第56回 CAROLE KING『TAPESTRY』

2018 年 11 月 03 日

●CAROLE KING:『TAPESTRY』(1971年)

Official Website of Carole King - Songwriter, Performer, Author | Carole King

シンガー・ソングライターとして、
これほどまでに多くの音楽ファンに愛され評価されている
女性アーティストはいないのでは?

1970年代が音楽的に「最も芳醇な時代」となった
大きなきっかけになったアルバムが、
この「タペストリー」だと思います。

一連の「シンガー・ソングライター・ブーム」の
絶対的中心としての存在感がいまだ揺るぎありません。

2016年に、本作の全曲再現ライヴがイギリスで行われ、
映像商品化されました。

インフォメーション | キャロル・キング | ソニーミュージック オフィシャルサイト

発売後、45年目にしてこれほどのコンサートが成立すること自体が
いかにこのアルバムがその輝きを失っていないかを証明しています。

そして今年、アリーサ・フランクリンが亡くなったことで
キャロル・キングの作品である「ナチュラル・ウーマン」が
いかに素晴らしい楽曲であるかを一段と際立たせることとなりました。

A Kennedy Center Tribute to Aretha Franklin (1942-2018) - YouTube

これからも『タペストリー』に収められている名曲の数々が、
数えきれない名カヴァーを生み続けることは明白です。

ザ・ビートルスの楽曲と同様に
ポピュラー音楽を志すアーティストにとって
「避けては通れないアルバム」、だと。



●THE FAMOUS ARTIST:DAVID FOSTER(AIRPLAY)

David Foster | Official Site


1980年代以降のアメリカ・ポピュラー音楽界において
「最も成功したプロデューサーのひとり」ではないでしょうか。

とにかく、ブレイクさせたアーティストとヒット曲の数が膨大です。。。

代表作品のほんの「一部」がコチラ。
Chicago - You're The Inspiration (Official Music Video) - YouTube
Céline Dion - The Power Of Love (Official Music Video) - YouTube
Earth, Wind & Fire - After The Love Has Gone (Audio) - YouTube

とりわけ80'sファンにとっては、
シカゴの名バラードにおけるプロデュース・ワークが忘れられません。

アルバム『16』(1982年)収録の
「素直になれなくて(邦題)」を頂点に、
次作『17』(1984年)収録の2大バラード
「忘れ得ぬ君に(邦題)」と「君こそすべて(邦題)」の3曲は、
ブラス・ロック・バンドから変貌した姿に一部批判を浴びたものの、
結局はバンド最大のセールスを記録したことで
誰も文句が言えない状況を作りました。

近年もジョシュ・グローバン、マイケル・ブーブレの2人が
大成功を収めています。

これからも彼のプロデュース・ワークからは目が離せませんね♪

第55回 LOU REED『TRANSFORMER』

2018 年 10 月 27 日

●LOU REED:『TRANSFORMER』(1972年)

Lou Reed » News

前週にご紹介したデヴィッド・ボウイの
『ジギー・スターダスト』と同年リリース作品ということもあり、
わたしの中では「兄弟アルバム」的な存在です。

デヴィッド・ボウイに比べると「ポップ感」や「きらびやかさ」は無いものの、
このアルバムも70年代ロック史における重要度は
ボウイのそれに匹敵するものがあります。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドという稀有なグループからソロに転向し、
グループ時代以上に自身のキャラクターを確立したアーティスト。

盟友関係にあったこの2人とも、もうこの世にはいないと思うと
どれほどの音楽的損失だったかと痛感します。

かつてコンサート興行の会社で働いていた時、
ルー・リードとパティ・スミスを神と仰ぐ先輩がいました。

当時のわたしは「デヴィッド・ボウイ派?」でしたので、
いまひとつルー・リードの本当の凄さや素晴らしさを理解しておらず、
その先輩とは冗談レベルでの口論とかしてました、、、

元来、「パンク」(セックス・ピストルズ、クラッシュなどなど)
というワードが苦手なわたしには
「ニューヨーク・パンク」というフレーズとセットで語られていた
先の2人の音楽を「ポップじゃない」ということだけで敬遠していたのです。

ところが。

U2のが1993年に行った「ZOO TV Tour」のセットリストに、
『トランスフォーマー』の中の「サテライト・オブ・ラヴ」があり、
ステージ上のヴィジョンにルー・リードの映像を流しながら共演をするという
感動的なシーンを目にしてから、ルー・リードへの印象が一転しました。

さらに。

デュラン・デュランのカヴァー・アルバム『サンキュー』(1995年)に、
「パーフェクト・デイ」が収録されていたことで、
わたしの中でのルー・リードの存在と
アルバム『トランスフォーマー』の偉大さが絶対化されました。

Duran Duran - "Perfect Day" (Official Music Video) - YouTube

ちなみにデュラン・デュランはデヴィッド・ボウイにも多大な影響を受けており、
「フェイム」もカヴァーしたことがあります。

Fame (2010 Remastered Version) - YouTube

デヴィッド・ボウイとルー・リード。

その計り知れない存在の大きさと偉大さを改めて感じる次第です。



●THE FAMOUS ARTIST:JON ANDERSON(YES)

Jon Anderson Online

プログレッシヴ・ロックといわれるジャンルにおいて、
キング・クリムゾン、ジェネシス、ELP(エマーソン・レイク&パーマー)と
並び称される象徴的なグループが、イエスです。

そのサウンドもさることながら、このジョン・アンダーソンの
ハイトーン・ヴォイスはバンドの象徴でもあります。

1970年代の名盤として絶対的な存在価値をいまだ誇る
『こわれもの(邦題)』(1971年)と『危機(邦題)』(1972年)。

メンバーの演奏力の高さはプログレ界でも屈指のもので、
時に難解すぎてわたしにはついていけないことも多々あります。。。

そんな中で番組でご紹介した「ロンリー・ハート」(1983年)は
全米1位を獲得するほどの圧倒的なPOP SONGで、
元来のイエス・ファンからは賛否両論を浴びることとなりましたが、
わたしのように初めて「イエス」を知るきっかけになった音楽ファンも
たくさんいたと思います♪

YES - Owner of a Lonely Heart (Official Music Video) - YouTube

「繊細の塊」のようなギタリスト:スティーヴ・ハウに代わって
新メンバーとなったトレヴァー・ラビンのコンポーザーとしてのポップな才能が
見事に楽曲に反映されジョンの歌声と強力にマッチした文句なしの大名曲!!

。。。と思ってアルバムを聴いてみると、
やっぱり他の曲は難解だったという方、当時たくさんいたと思います。(笑)

そこはやっぱり「プログレ・バンド」だな、と。

現在は完全に「2つのグループ」に分裂して、
それぞれのツアーを慣行するという複雑な状況にあるバンド:イエス。

ジョン・アンダーソンが「いない方」のイエスは、]
何と来年2月に来日公演を行います。

YES - ウドー音楽事務所

それにしてもこの時代(1970年代)の一部のバンド・メンバーは
本当に息が長いですね。

第54回 DAVID BOWIE『ZIGGY STARDUST』

2018 年 10 月 20 日

●DAVID BOWIE:『ZIGGY STARDUST』(1972年)

Home — David Bowie

このアルバムは、わたしにとって
「1970年代ロック・アルバム」の中で最も好きな1枚です。

初めて聴いた時、楽曲すべてが「いい曲」で
かつコンセプトが貫かれていることに驚き、
信じがたい内容だと痛感しました。
こんなアルバム、人生でそう何枚も出会えるものではありません。

この番組でさんざん、「名盤、名盤」と連呼はしていますが
「名盤=全曲いい曲のアルバム」だとは限りません。

むしろそうでないアルバムのほうが正直、多いはずです。

そういう意味で、このアルバムが持つ「圧倒的なクオリティ」は
彼の全作品群の中でも群を抜いてます。

素晴らしいとしか言えません。

そんなアルバムの前夜にリリースされた『ハンキ―・ドリー』(1971年)も、
初期の名盤として忘れることが出来ません。

特にフランク・シナトラの歌唱で有名な
「マイ・ウェイ」をモチーフにしたと言われている
「ライフ・オン・マーズ」(邦題:火星の生活)は深く心に染み入る名曲です♪

David Bowie – Life On Mars? (Official Video) - YouTube

この曲でピアノ演奏を担当しているのは、
「イエス」のキーボーディスト:リック・ウェイクマンであることも重要ポイント。

その他にも歴史的な名曲がたくさんありすぎるので、
時間がある方は下記より他の楽曲映像もお楽しみ下さいませ。

David Bowie - YouTube

もし「もう一枚」、彼のアルバムを特集することが出来るのなら
次は80'sの名盤『レッツ・ダンス』(1983年)を選びます。

わたしが初めて耳にした彼のアルバムであり、
プロデューサーとしてのナイル・ロジャース(CHIC)の名を知らしめた決定盤。

いまだに他界したことが信じられませんが、
「ロック史」に与えた影響力の大きさは
これからもより拡大していくことでしょうね。



●THE FAMOUS ARTIST:MARK KING(LEVEL42)

Level42.com – Welcome to the official site of Level 42 and Mark King

ベーシストでありヴォーカリスト。

わたしの中で真っ先に名前が出るのが、ポール・マッカートニーとスティング。

次にゲディ・リー(RUSH)、フィル・ライノット(シン・リジィ)と、
このマーク・キングです。

いかついルックスに反して(?)、優しい歌声なのが意外ですが
とにかく彼はプレイヤーとしてのスキルが素晴らしいです♪

番組でご紹介した超名曲の「サムシング・アバウト・ユー」でも
歌いながら恐ろしいフレーズ弾いてますし。(笑)

Level 42 - Something About You (Live in Holland 2009) - YouTube

本国UKでの根強い人気に比べると日本では80年代の一連のヒット曲でさえ、
今ではなかなか紹介される機会がありません。

恐らく今後、来日公演を行うことは無いかもしれませんが
是非この素晴らしいバンドのベーシスト兼ヴォーカリスト:マーク・キングの
名前を、
この機会にみなさまのご記憶に留めて頂けたらと思います。

第53回 JOHN LENNON『IMAGINE』

2018 年 10 月 13 日

●JOHN LENNON:『IMAGINE』(1971年)

John Lennon - Official Website

先頃、このアルバムの再発盤がリリースされたばかりです。

「イマジン」。

あまりにも大きすぎる楽曲であり、
ジョン・レノンのアーティスト性をいまでも
強烈に決定付けている名曲だと思います。

Imagine (Ultimate Mix) restored, remixed & remastered - YouTube

同じ天才ソングライターである
ポール・マッカートニーの楽曲とは対照的に、
ジョン・レノンは一貫して世の中に対する「メッセージ」を
歌に込めてきたアーティストでした。

愛するオノ・ヨーコへのラヴ・ソングを、
ただただシンプルに何のてらいもなく捧げることもしばしばありましたが、
死後はよりいっそう、ジョン・レノン=「世界平和の提唱者」という
直結的なイメージで認識されていると思います。

ザ・ビートルズ晩年~ソロ活動初期は、
最高のパートナーであったポールとの確執が浮き彫りとなったことが
良くも悪くも2人の天才の音楽活動に様々な影響を及ぼしていくのですが、
その様も実に「人間臭い」エピソードだな、と。

ジョンの魂を引継ぎ続けているオノ・ヨーコさんも、
先頃最新作:『ウォーゾーン』を発表されました。

オノ・ヨーコが5年ぶりの新アルバム『Warzone』を10月発売、1曲試聴可 - amass

オノ・ヨーコ 新アルバムから「Imagine」のリリックビデオ公開 - amass

アルバムの最後は「イマジン」で締め括られています。

ジョン自身のアルバム再発売と相まって、
再び世界中の音楽ファンの胸に、この曲が深く刻まれるでしょうね。



●THE FAMOUS ARTIST:SAMMY HAGAR(ex.VAN HALEN)

Home Page | Sammy Hagar (The Red Rocker)

デヴィッド・リー・ロスという天性のロック・ヴォーカリストの後を受けて、
彼がヴァン・ヘイレンに電撃加入したときは、正直「?」でした。

そもそも彼自身のそれまでのキャリアをほとんど知らなかったせいもあり、
「あのデイヴの抜けた穴を埋められるのか?」と。

身勝手な予想を見事に裏切り、
サミー・ヘイガーは超実力派ヴォーカリストとしての力量を発揮し
「穴を埋める」どころかヴァン・ヘイレンの
第二期黄金期を構築した偉大なるヴォーカリストとして
確固たる存在感をアピールしたのです。驚きでした。。。

デイヴとは違い、ハイトーンでバリバリに歌いきる正統派の彼の歌声は、
それまでバンドの音楽性に皆無だった
「バラード」をレパートリーとして注入することとなります♪

その一例が番組でもご紹介した「ラヴ・ウォークス・イン」(1986年)です。

残念ながら動画サイトのヴァン・ヘイレン・オフィシャル・ページには、
サミー・ヘイガー時代のMVが一切アップされていないので、
ここで映像をご紹介することが出来ないのですが、
彼のヴォーカルが加わったことで明らかにバンドの音楽性に幅が出来、
新しいファンを広く獲得することに成功した事実は揺るぎありません!

現在も尚、その年齢を感じさせないパワフルな歌唱で
音楽活動を継続するその姿は、
多くの後輩ロッカーに大きな勇気を与え続けていることと思います!