THE FAMOUS RECORDING

70's・80'sの名盤・名曲をじっくりとお送りする
「本物の洋楽番組」にどうぞお付き合いください。

every sat. 19:00~20:00 ON AIR
【担当NA】 yadge

第32回 PAUL SIMON『GRACELAND』

2018 年 05 月 12 日

●PAUL SIMON:『GRACELAND』(1986年)

キャリア最期となるツアーを開始しているポール・サイモン。

現在76歳という年齢。自ら幕引きをするに適当なタイミングだったのでしょうね。

ポールに限らず、エルトン・ジョン、オジー・オズボーンから、
バンドでも10月に来福公演を行うディープ・パープルもツアー・タイトルに
「The Long Goodbye」と冠しています。

70年代~80年代から活躍しているアーティストの他界はもちろんですが、
「最期のツアー」と称するアーティスト群がますます増えてくるのも、
ロック史における宿命ですね。

「良い音楽」としてチャート上での大衆性を保持していた
「ポップ・ロック・ミュージック」が、
いまや「R&B/HIP HOP」音楽に完全に支配され、
例えばポール・サイモンのような評価を得るアーティストが
なかなか世の中の注目を浴びる機会が無くなってしまいました。

現在の欧米ポピュラー音楽史の「中身」は、
50年代~80年代に比べると確実に衰弱しています。

その現象は、もう歯止めが利かなくなって久しいです。

そういった現象をポール・サイモン始め、
ポール・マッカートニー、スティーヴィー・ワンダー、エルトン・ジョンなどの
現存する真の天才アーティストはどう見ているのでしょうね。。。

『GRACELAND』。

ポピュラリティを得ることに媚を売らず、
時代背景(=南アフリカ人種隔離政策に背く、という逆境)を もろともせずに
このアルバムを勇気を持って完成させ、
純粋に音楽で勝負して評価を得た(=グラミー賞受賞!)真の名盤。

2000年代に同等のアルバムを作れているアーティストは、
当のポール・サイモン以外には存在しないということです。

最期のツアーが映像商品化されることを願ってやみません。

「ポピュラー音楽史・資料」として国家レベルで保存すべき音楽芸術だと思います。

Home - The Paul Simon Official Site

♪「You Can Call Me Al」↓
Paul Simon - You Can Call Me Al - YouTube



●THE FAMOUS ARTIST:BOB MARLEY

ジャマイカ~レゲエ・ミュージック=ボブ・マーリー。

彼無くして「その国」と「その音楽」を知ることは、きっと無かったでしょう。

また、番組でご紹介した「アイ・ショット・ザ・シェリフ」が
エリック・クラプトンによるカヴァーによって
全米1位を獲得(1974年)しなければ、
彼、あるいは「レゲエ・ミュージック」が
全世界規模で認知を得ることも無かったかもしれません。

いくつかの奇跡的な出来事が重なり、
彼の名は音楽史において他の誰も代わりが利かない
絶対的な存在感を放つこととなりました。

貧困地域から音楽と仲間とともに世界へ発信された彼のメッセージは、
いつの時代にも普遍的な意味を持ち得ます。

若くしてこの世を去ってしまったことは本当に残念でなりませんが、
彼が遺した音楽とメッセージは例えばジョン・レノンが発した
「LOVE&PEACE」と同じく永遠に音楽ファンの胸の中で生き続けます。

チャートや売り上げ枚数では決して計りきれないボブ・マーリーの影響力を、
これからも私達は感じ続けることでしょう。

合掌。

Bob Marley - The Official Site

ライヴ映像はこちら。↓
Bob Marley - In Concert (Live) - YouTube

第31回 SCRITTI POLITTI『CUPID & PSYCHE 85』

2018 年 05 月 05 日

●SCRITTI POLITTI:『CUPID & PSYCHE 85』(1985年)

番組の中でお話した、雑誌「レコード・コレクターズ」の
2007年7月号で特集された「80年代ロック・アルバム・ベスト100」で
このアルバムは「第3位」に選ばれました。

ちなみに上下を挟む作品群は、
1位がTALKING HEADSの『REMAIN IN LIGHT』(1980年)、
2位が以前番組でもご紹介したU2の「THE JOSHUA TREE』(1987年)。

4位がDONALD FAGENの『THE NIGHTFLY』(1982年)、
そして5位がTHE POLICEの『SYNCHRONICITY』(1983年)。

鉄板的な上位の名盤群に交じっての第3位という順位には、かなり驚きました!!

この雑誌の特性が加味されたとしても、
かなりの高評価を評論家の方々が本作に向けてらっしゃるということになります。

SCRITTI POLITTI は、このアルバムも含めて、
他のアルバム(※元々、多作では無いですが)が
メディアやその他の音楽シーンで取り上げられる機会がほとんどありませんが
シングルとしてヒットした「Perfect Way」は
今聴いても圧倒的に素晴らしいPOP SONGです♪

Scritti Politti - "Perfect Way" (Official Video) - YouTube

おそらく80's世代では無いリスナーの皆様方は、
この番組で初めて耳にされた方も多かったと思います。

グリーン・ガートサイド(Vo.)のソロ・プロジェクトに近い制作スタイルで、
時には豪華なゲスト・アーティストやプロデューサーを起用しながら
寡作ながらも独自の音楽をクリエイトし続けています。

同時代に大ブレイクしたワム!、マドンナ、プリンス等の
偉大なるPOP STARの大活躍の横で、
こういう音楽が静かながらも世に放たれ
後々にまでその独自性を保ちながら存在していることは
素晴らしいことだと思います。

次作となる『PROVISION』(1988年)も必聴です♪

Green Gartside ¦ Scritti Politti



●THE FAMOUS ARTIST:RAY PARKER Jr.

「ゴーストバスターズ」(1984年:全米1位獲得)。

ケニー・ロギンスの「フットルース」(1983年:全米1位獲得)とともに、
大ヒット映画の主題歌というタイアップにより
それまでのキャリアをあらゆる意味で「帳消し」にするくらいの
破格の大ヒットとなったが為に。

本来のアーティストとしての資質が置いてけぼりにされ、
その当時初めて楽曲とその存在を知ったリスナーにとっては
いつまで経ってもなかなか真から信頼することが出来ないという事態に陥りがちです。

もちろんyadgeも、
いまだレイ・パーカー・Jr.とケニー・ロギンスの顔を思い浮かべると
真っ先に映画主題歌のメロディが頭の中を駆け巡り、
次いでやっと本来の彼らの「名曲」が思い浮かぶことは変わりありません。

「A Woman Needs Love」は、
もうイントロからすぐ楽曲の雰囲気に取り込まれる
大変魅力的な楽曲だと思います。

当時、この曲をBGMに女性を口説いた男性陣が多数いたのでは??
とさえ想像してしまいます。

Ray Parker Jr., Raydio - A Woman Needs Love (Just Like You Do) - YouTube

一方で「ギタリスト」としての彼の腕前も、後々になって知ることとなりました。

スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイをはじめとする
モータウン・アーティストの作品における彼の貢献度を知ったときは
「ゴーストバスターズ」のMVの中での、
あのおちゃらけた姿は何だったんだ!?と愕然としたものです。(笑)

でもその「ゴーストバスターズ」の大ヒットが無ければ、
わたしは彼のギタリストとしての素晴らしさはもとより、
優れたコンポーザーであることさえも知ることはなかったでしょう。

そう考えると。

本来の音楽資質とは違っていても、
有無を言わせぬ「大ヒット曲」を持つことは決して悪いことではない、
ということですね。

。。。しかしながらこの「ゴーストバスターズ」は大ヒットしすぎたが為に、
のちにヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの曲の盗作であったことが認められる、
というアンラッキーな事態も招いたのでした。

Ray Parker Jr. - Ghostbusters - YouTube
→こちら「ゴーストバスターズ」

Huey Lewis And The News - I Want A New Drug - YouTube
→こちら「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」

M - Pop Muzik (Official Video) - YouTube
→オマケにこの曲にも似ている!と言われています。

いやはや、音楽って難しいものですね!

第30回 EURYTHMICS『SWEET DREAMS(are made of this)』

2018 年 04 月 28 日

●EURYTHMICS:『SWEET DREAMS(are made of this)』(1983年)

アニー・レノックスとデイヴ・スチュワート。

80's洋楽シーンにおいて、これほどまでにミステリアスで
ハイ・センスなユニットはいなかったと思います。

yadgeが好きな80'sの女性ヴォーカリストBEST3の中のお一人が
アニー・レノックスでした。

とにかく美しく歌がお上手で。

一方のデイヴ・スチュワート。

「音楽センスの塊」。

ギターの音色ひとつひとつに、
クールかつエモーショナルな彼の音楽観が注入されています。

元恋人同士がその関係性を解消した後に
「音楽パートナー」として活動を共にすることが
果たして成立するのか?という点ではいまだ疑問だらけですが、
お互いがお互いの「音楽的才能」を認め合い、
特殊な関係性を持続させたことは、他にあまり類を見ません。

この二人の間でしか成立しなかった緊張感と信頼関係が、
EURYTHMICSの「個性そのもの」だったと思います。

アルバムとしての最高傑作は『REVENGE』(1986年)。

キャリア最高楽曲である「Miracle Of Love」を収録した、
彼らの音楽性が完成を見たハイ・クオリティの極みです♪

Eurythmics - Miracle Of Love (Remastered) - YouTube

「1980年代」という時代性を見事に音楽的に利用し、成功を収めた才人ふたり。

男女ユニットとしてこれほどまでに理想的な
音楽キャリアを構築したアーティストはなかなかいないと思います♪

EURYTHMICS



●THE FAMOUS ARTIST:PAUL CARRACK(Mike + The Mechanics)

英国音楽シーンにおいて、
実に様々なグループ・メンバーとして活躍しながらも
独自のスタンスでキャリアを構築してきた
ユニークなアーティストだと思います。

彼の魅力は何といってもその温かみのある個性的な歌声にあると思います。

大御所バンドであったジェネシスのギタリスト:マイク・ラザフォードをして、
リーダーを務めた「マイク+ザ・メカニックス」のヴォーカリストに
「フィル・コリンズとは違う歌声」として彼の声を起用したのですがら、相当なものかと。

また彼はキーボード・プレイヤーとしての評価も高く、
リンゴ・スターが不定期継続している「ヒズ・オールスター・バンド」の
ツアー・メンバー(第8期:2003年)にも選ばれたことがあります。

日本ではなかなか評価の対象とされる機会が少ないアーティストではありますが、
番組でご紹介した全米No.1シングル「リヴィング・イヤーズ」での名歌唱は
彼のキャリアにおけるハイライトとしてこれからも語られるべき出来事だと思います♪

Mike & The Mechanics - The living Years - YouTube

そしてこの曲を聴くたびに、自分を育ててくれた父親と。

今や自分も「子を持つ父親」になった己のことを考えさせられます。

Paul Carrack – Official website for internationally respected British vocalist, songwriter and record label owner.

第29回 DONNA SUMMER『SHE WORKS HARD FOR THE MONEY/邦題:情熱物語』

2018 年 04 月 21 日

●DONNA SUMMER:『SHE WORKS HARD FOR THE MONEY/邦題:情熱物語』(1983年)

この度の特集にあたり、1979年の大ヒット・アルバム
『BAD GIRLS/邦題:華麗なる誘惑』とこのアルバムと、
どちらにしようか。。。?と悩みました。
全米1位となったシングル「HOT STUFF」。
耳にしたことがある方も多いかと思います。

The Trailer for Donna Summer - The Ultimate Collection! - Facebook

洋楽リアル・タイム体験が1983年:当時中学一年生だったyadgeにとっては、
ドナ・サマーを初めて知ったのがこのアルバムからのヒット・シングルで
タイトル曲でもある「情熱物語(邦題:全米3位)」でした。

そのワイルドなルックスと力強い歌声が、
当時のわたしにとっては少し怖い印象を受けましたが。。。(笑)

「ディスコ・クイーン」という愛称で70年代後期に爆発的人気を誇った彼女。

以前番組でご紹介しましたBEE GEESによる
『サタデー・ナイト・フィーヴァー』(1978年)の
サウンドトラックの大ヒットにより、
このドナ・サマーも含め、1970年代後期は
数多ディスコ・ミュージック・ヒットが生まれていた時代でした。

1979年のビルボード・シングル年間チャートにおいて、
彼女は「バッド・ガール」:2位、「ホット・スタッフ」:7位、
「マッカーサー・パーク」:12位(リチャード・ハリスのカヴァー)と
3曲ものNo.1シングルが上位にランクインするという快挙を成しえています。

幸か不幸か、その「ディスコ・ブーム」の終焉とともに彼女の
「チャート上のピーク」も下降線を辿ることとなりましたが、
元来”ミュージカル上がり”である彼女の歌唱力の素晴らしさは、
ヒット曲以外の楽曲群でも容易に知ることができます。

2012年5月17日に63歳で他界したドナ・サマー。

時代が巡っても、これからのアメリカ音楽シーンで活躍するであろう
多くの新人女性アーティストにも影響をあたえ続ける存在だと思います。



●THE FAMOUS ARTIST:MICHAEL SEMBELLO

映画『フラッシュダンス』(1983年)といえば、アイリーン・キャラによる
「フラッシュ・ダンス~ホワット・ア・フィーリング」の特大ヒットが有名ですが、
このマイケル・センベロによる全米No.1シングル「マニアック」も
強烈にカッコいいナンバーでした♪

後に気が付いたのですが先のドナ・サマーの70年代と同じく、
この『フラッシュダンス』のサウンドトラックも
「カサブランカ」というレーベルからのリリースでした。
(※『情熱物語』(1983年)はレーベル移籍後のアルバムです)

当時ラジオからこの曲が流れてきたのを初めて聴いた時、
ガツーン!とやられてしまいました。

完全にそれまでに聴いたこと のなかったタイプの楽曲だったからです。

スティーヴィー・ワンダーを始め数多くの有名アーティスト(ドナ・サマーも!)
のアルバムに参加してきた彼のギタリストとしての腕前は
普段から取り上げられる機会が少ないですが、
番組で初めて彼の名前を知って興味を持った方は
「素晴らしいミュージシャンとしてのキャリア」も深く掘り下げてみてくださいね!!

リーダー作をしばらくリリースしていませんが、
また誰かのアルバム・プロデュースでもいいので彼の名前を発見したいものです。

Michael Sembello | Facebook

第28回 CHRISTOPHER CROSS『CHRISTOPHER CROSS』

2018 年 04 月 14 日

●CHRISTOPHER CROSS:『CHRISTOPHER CROSS』(1979年)

1970年~80年代の「ワーナー・ミュージック・グループ」のレーベルには
本当に名盤が多いです!!

ワーナー・ブラザーズを筆頭に、アトランティック、アサイラム、エレクトラ、
サイアーと、それぞれのレーベルに歴史的名盤がザクザクと存在しています。

きっとこれからも番組では「ワーナー・ミュージック・グループ」の名盤を
たくさんご紹介していくと思いますので、乞うご期待♪

そんな中で、このクリストファー・クロスの1stアルバムは
「ワーナー・ブラザーズ」という優れたレーベルを真に象徴する1枚だと思います。

天性の歌声。ソングライティングの素晴らしさ。
それを支えるサウンド・プロダクションの鉄壁さ 。

レコーディングに参加した豪華な面々は番組の中でもご紹介しましたが、
若い才能を盛り立てるために集まった周辺ミュージシャンの
彼に対する期待値が伺えます。

そして、グラミー賞:主要4部門を独占受賞。

この輝かしい歴史的記録とともに、
このアルバムはポピュラー音楽史において永遠に語り継がれる1枚です。

そしてこのデビュー・アルバムの大ヒット直後に、
アカデミー賞を受賞した彼のベスト・トラック
「ニューヨーク・シティ・セレナーデ(邦題)」(1981年全米1位)。

楽曲の素晴らしさが神ががっていて、
こういう楽曲こそが「全米1位にふさわしい!」と、
今の全米チャート上にひしめくメロディが無い楽曲群を聞くたびに思います。

最新アルバムをリリースして、今月行われる来日公演。
福岡公演が無いのが本当に残念です!!

Christopher Cross Official Website | Home



●THE FAMOUS ARTIST:JULIAN LENNON

ジョン・レノンとオノ・オーコさんとの間に生まれたショーン・レノン。

偉大すぎる父親を持ちながらも、
2人ともアーティストとして世に出るという血統は実に美しいものですが。

ジュリアン・レノンはジョンとシンシアの離婚後、シンシアに育てられた為、
ショーンとは違って若くして父親の愛情を受けることが出来なくなった悲運と
戦わなければなりませんでした。

そんな苦境でもデビューを勝ち取り、ヒット曲を放ったのは本当に凄いと思います。

「二世ミュージシャン」の宿命ですが、
親の七光りでデビューは出来たとしても「ヒットする」という次元はまた別です。

番組でご紹 介した「ヴァロッテ」(1984年)は静かで地味な楽曲ですが、
父親から受け継いだ音楽DNAがヒシと伝わってくる名曲です。

目下のところの最新曲である「Saltwater25」にも、ジョンのDNAが感じられます。

Julian Lennon - YouTube

現在は写真家としての活動のほうが有名になっている彼ですが、
寡作ながらもきっと「ビートルズ・イズム」を感じさせてくれる
楽曲を作り続けてくれると思います♪

JulianLennon.com - The official website